2025年8月2日土曜日

テキスト版 TS201221高野修一答申書 令和2年度(行情)答申第411号

テキスト版 TS201221高野修一答申書 令和2年度(行情)答申第411号

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諮問庁:厚生労働大臣

諮問日:令和2年8月12日(令和2年(行情)諮問第402号)

答申日:令和2年12月21日(令和2年度(行情)答申第411号)

事件名:国民年金保険料の領収(納付受託)済通知書に係る開示決定の閲覧交

付の権限は日本年金機構に事務委託されていないことが分かる平成

28年度に有効な文書の不開示決定(不存在)に関する件

 

答 申 書

 

第1 審査会の結論

「平成28年度に有効な文書で,済通の開示請求に対して,開示決定の

閲覧交付の権限については,厚労省に権限があり,年金機構には事務委託

されていないことが分かる文書及び情報提供。」(以下「本件対象文書」

という。)につき,これを保有していないとして不開示とした決定は,妥

当である。

 

第2 審査請求人の主張の要旨

1 審査請求の趣旨

本件審査請求の趣旨は,行政機関の保有する情報の公開に関する法律

(以下「法」という。)3条の規定に基づく開示請求に対し,令和2年1

月8日付け厚生労働省発年0108第1号により厚生労働大臣(以下「厚

生労働大臣」,「処分庁」又は「諮問庁」という。)が行った不開示決定

(以下「原処分」という。)について,その取消しを求めるというもので

ある。

 

2 審査請求の理由

審査請求人の主張する審査請求の理由は,審査請求書によると,おおむ

ね以下のとおりである。

原処分は,不当である。

(1)経緯

ア 本件開示請求文言:「平成28年度に有効な文書で,済通の開示請

求に対して,開示決定の閲覧交付の権限については,厚労省に権限が

あり,年金機構には事務委託はされていないことが分かる文書及び情

報提供。」

イ 原処分で特定された文書名:(上記第1に掲げるとおり。また,上

記アに同じ。)

ウ 不開示とされた理由(厚生労働省の主張):本件対象文書「につい

ては,令和元年12月18日付け補正依頼に記載した理由から,作成

又は取得した事実はなく,保有していないため不開示とした。」

1p>

 

(2)厚生労働省の主張に対する認否等

ア 特定した文書に誤りがある。

(ア)本件開示請求文言は,「年金機構には事務委託されていないこと

が分かる文書」である。

(イ)本件対象文書は,国民年金保険料の収納事務に係る文書である。

(ウ)厚生労働大臣は,「年金機構には事務委託されていないことが分

かる文書」は作成・取得していないと明記している。「年金機構に

は事務委託されていることが分かる文書」は作成・取得していない

とは言っていない。

(エ)「事務委託されていることが分かる文書」が本件対象文書である

ことの認否は,争点である。

(オ)「事務委託されている事実」が分かれば,「事務委託されていな

い事実」が分かる関係にある。厚生労働大臣は,「年金機構に事務

委託されていることが分かる文書」を特定すべきである。

(カ)「事務委託されていることが分かる文書」ならば,存在し,保有

している。以下の文書は,本件対象文書である。

a 国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書

b 国民年金保険料の納付受託取扱要領

c 国民年金保険料の納付受託事務に係る実施要領

d 国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書に関係して,厚

生労働省から年金機構宛てに出した文書すべて

e 国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書に関係して,年

金機構から取得した文書すべて

(キ)厚生労働大臣は,上記(カ)に掲げる文書を開示する義務がある。

 

イ 原処分の不開示の理由は,違法である。

(ア)厚生労働大臣が交付した本件不開示決定通知書は,虚偽有印公文

書に該当する文書であり,交付した行為は,虚偽有印公文書行使罪

に該当する行為である。

(イ)不開示の理由として,「令和元年12月18日付け補正依頼に記

載した理由」としていることは,違法である。

令和元年12月18日付け補正依頼書は,以下の点から,軽微な

文書であり,正規の手続である決裁を飛ばした文書である。

a 発番表示がない。

b 決裁印も押されていない。

c 決裁者名の記載もない。

軽微な文書は,交付した直後に破棄できる文書であり,明日にで

も作成できる文書である。軽微な文書に記載されている内容を指示

して不開示の理由としていることは,厚生労働大臣による決裁を受

2p>

 

けていない不開示理由であり,違法である。

(ウ)上記アの理由を明示すると,厚生労働大臣の決裁を得られないこ

とから,「令和元年12月18日付け補正依頼に記載した理由」と

することでワンクッションを置き,決裁を受けたものである。

決裁文書に明記すれば違法が明らかになるため,本件不開示決定

通知書に記載することを回避したものである。(以下略)

 

第3 諮問庁の説明の要旨

1 本件審査請求の経緯

(1)審査請求人は,令和元年12月3日付け(同月4日受付)で処分庁に

対し,法の規定に基づき本件対象文書の開示請求を行った。

(2)これに対して処分庁は,「国民年金保険料の領収(納付受託)済通知

書については,厚生労働省の行政文書であるため,厚生労働省で開示決

定等を行い,当該文書の閲覧交付は厚生労働省で行うこととなる」こと

及びそれゆえ本件対象文書を「保有していない」ことを伝えるとともに,

本件開示請求の取下げ希望の有無を確認するため,令和元年12月18

日付けで「開示請求内容の確認について(補正依頼)」(以下「開示請

求補正依頼」という。)を送付したところ,同月20日付け(同月23

日受付)で審査請求人から回答があり,本件開示請求を取り下げない旨

を確認した。

(3)上記(2)を踏まえ,処分庁は,本件対象文書について,「令和元年

12月18日付け補正依頼に記載した理由から,作成又は取得した事実

はなく,保有していない」ことを理由として,不開示の原処分を行った。

(4)審査請求人は,令和2年3月31日付け(同年4月1日受付)で本件

審査請求を提起したが,審査請求書の記載では,審査請求の趣旨及び理

由が不明であったため,処分庁は,審査請求の趣旨及び理由を明確に記

載するよう補正を求める文書(以下「審査請求補正依頼」という。)を

同年6月18日付けで審査請求人に送付した。

(5)令和2年7月1日に審査請求人から回答が送付されたが,その内容を

確認してもなお審査請求の趣旨及び理由が不明であったため,処分庁は,

改めて2回目の審査請求補正依頼を同日付けで送付した。

(6)2回目の回答提出期限である令和2年7月15日までに回答が得られ

なかったため,処分庁は,2回目の審査請求補正依頼と同内容の3回目

の審査請求補正依頼を同日付けで送付した。

(7)令和2年7月17日に審査請求人から回答が送付され,「趣旨が分ら

ないというが,このように理解したが,それでよいか確認をお願いしま

すと書いてくるよう。理解した内容について回答が来たら,厚労省に行

って説明する」旨記載されていた。

(8)処分庁は,1回目の審査請求補正依頼に対する審査請求人の回答から

3p>

 

審査請求の趣旨及び理由と思われる箇所を抜粋し,その内容でよいか確

認するため,4回目の審査請求補正依頼を令和2年7月21日に送付し

たが,同年8月4日の提出期限までに回答及び審査請求人の来訪はなか

った。

(9)これまでの再三にわたる審査請求の趣旨及び理由の確認において,明

確な回答が得られないため,4回目の審査請求補正依頼に記載した以下

の2点を本件審査請求の趣旨及び理由として諮問を行うものである。

① 「事務委託されている事実」が分かれば,「事務委託されていない

事実」が分かる関係にある。厚生労働大臣は,「年金機構に事務委託

されていることが分かる文書」を特定すべきである。

② 厚生労働大臣が交付した本件不開示決定通知書は,虚偽有印公文書

作成罪に該当する文書であり,交付した行為は,虚偽有印公文書行使

罪に該当する行為である。

 

2 諮問庁としての考え方

厚生労働省において,本件対象文書は保有しておらず,不開示とした原

処分は妥当であると考える。

 

3 理由(原処分の妥当性について)

(1)上記1(9)①の主張について

国民年金保険料の領収(納付受託)済通知書(以下「領収通知書」と

いう。)は,厚生労働省の行政文書であるため,開示決定等を行うのは

厚生労働省であり,当該文書の閲覧交付も厚生労働省で行う。当該文書

の閲覧交付事務を日本年金機構に事務委託するものではなく,したがっ

て「事務委託していないことが分かる文書」も作成していないため,審

査請求人の主張は当たらないものと考える。

(2)上記1(9)②の主張について

審査請求人は,審査請求書(上記第2の2(1)イ(イ))において,

「軽微な文書に記載されている内容を指示して,不開示理由としている

ことは,厚生労働大臣による決裁を受けていない不開示理由文言であり,

違法である」旨を主張している。しかし,処分庁は,不開示理由を記載

している令和元年12月18日付けの開示請求補正依頼(審査請求人の

いう「軽微な文書」)を添付して原処分の決裁を行い,本件不開示決定

通知書を審査請求人へ送付する際には,審査請求人が不開示理由を確認

できるように当該補正依頼の写しを同封している。このため,審査請求

人の主張は当たらないものと考える。

 

4 結論

以上のとおり,原処分は妥当であり,本件審査請求は棄却すべきものと

考える。

 

第4 調査審議の経過

4p>

 

当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。

① 令和2年8月12日  諮問の受理

② 同日        

諮問庁から理由説明書を収受

③ 同年11月26日   審議

④ 同年12月17日   審議

第5 審査会の判断の理由

1 本件対象文書について

本件開示請求に対し,処分庁は,本件対象文書を保有していないとして

不開示とする原処分を行い,諮問庁も原処分を妥当としているので,以下,

本件対象文書の保有の有無について検討する。

 

2 本件対象文書の保有の有無について

(1)理由説明書の記載(上記第3の1(3))及び当審査会事務局職員を

して諮問庁に対し詳細な説明を求めさせたところによると,諮問庁は,

本件対象文書の保有の有無について,おおむね以下のとおり説明する。

ア 本件開示請求は,領収通知書の法又は行政機関の保有する個人情報

の保護に関する法律(以下「行個法」という。)の規定に基づく開示

決定に係る閲覧又は交付の権限について,厚生労働省に権限があり,

日本年金機構に事務委託されていないことが分かる文書の開示を求め

るものであると解される。

イ 国民年金保険料の納付委託については,国民年金法92条の3第1

項2号の「納付事務を適正かつ確実に実施することができると認めら

れ,かつ,政令で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定

するもの」に該当する者として,コンビニエンスストア(以下「コン

ビニ」という。)本部運営会社各社が厚生労働大臣の指定を受けてい

る。

ウ また,「国民年金保険料の納付受託取扱要領」(平成27年4月厚

生労働省年金局事業管理課・日本年金機構国民年金部。以下「要領」

という。)により,コンビニ店舗は,被保険者から納付された保険料

を取りまとめてコンビニ本部へ送付し,同本部では,保険料の国庫へ

の納付手続を行うこととされている。

エ 領収通知書は,コンビニ店舗において被保険者へ交付する領収(納

付受託)証書を切り離した残りの部分に相当し,要領に基づき,コン

ビニ店舗からコンビニ本部に送付し,同本部において,3年を経過す

る年度末まで保存することとされているが,被保険者の氏名,基礎年

金番号,納付額等が印字され,歳入徴収官(厚生労働省年金局事業管

理課長)宛てに通知する形となっていることから,厚生労働省の行政

文書である。

オ このため,領収通知書の法又は行個法の規定に基づく開示請求につ

5

いては,厚生労働省が受け付け,開示の実施に当たり,通常,コンビ

ニ本部から領収通知書の写しを取り寄せた上で,開示請求者に対して

閲覧に供するか,又は交付を行っており,閲覧又は交付の権限が日本

年金機構に事務委託されていることはなく,また,事務委託されてい

ないことが分かる文書も特段作成,取得していない。

なお,開示請求等の権限又は事務については,法17条及び行個法

46条において当該行政機関の職員に委任することができるが,独

立行政法人等への委任に関する規定はない。

カ 以上のことから,処分庁において,本件対象文書を作成,取得して

おらず,本件対象文書を保有していないとして不開示とした原処分は

妥当であると考える。

(2)当審査会において,関係法令の規定を確認するとともに,諮問庁から

要領及び領収通知書の様式の提示を受けて確認したところ,関係法令,

要領及び領収通知書の様式については,上記(1)イないしエの諮問庁

の説明のとおりであることが確認された。

このため,本件対象文書を保有していないとする上記(1)カの諮問

庁の説明は,法令等に基づくものであり,不自然,不合理であるとは認

められず,また,これを覆すに足りる特段の事情も認められない。

したがって,厚生労働省において本件対象文書を保有していないとす

る上記(1)の諮問庁の説明は是認せざるを得ない。

 

3 審査請求人の主張について

(1)審査請求人は,審査請求書(上記第2の2(2)イ)において,原処

分について理由の提示の不備を主張しているものと解される。

そこで,本件不開示決定通知書(以下「本件通知書」という。)の

「不開示とした理由」を確認すると,本件対象文書を取得,保有してい

ない理由として,「令和元年12月18日付け補正依頼に記載した理由

から」と記載されているのみであり,本件通知書に処分の理由が端的に

記載されているということはできない。また,当該補正依頼が別紙とし

て明記され本件通知書と一体化する形が取られているわけでもない(諮

問書のつづりを見ても当該補正依頼との一体性は確認できない。)。

しかしながら,理由説明書(上記第3の3(2))における諮問庁の

説明によると,本件通知書を「送付する際,審査請求人が不開示理由を

確認できるように当該補正依頼の写しを同封した」としていることを踏

まえると,原処分が理由の提示の不備に当たるとするには及ばないもの

と認められる。

 

(2)審査請求人のその他の主張は,当審査会の上記判断を左右するもので

はない。

 

4 付言

6p>

 

処分の理由は,本来,処分内容とともに,端的にかつ一体的に提示され

ることが望ましいことはいうまでもない。

本件においては,上記3(1)の理由により,原処分が理由の提示の不

備に当たるとするには及ばないが,処分庁においては,今後,この点につ

いて適切に対処することとすべきである。

 

5 本件不開示決定の妥当性について

以上のことから,本件対象文書につき,これを保有していないとして不

開示とした決定については,厚生労働省において本件対象文書を保有して

いるとは認められず,妥当であると判断した。

 

(第3部会)

委員 髙野修一,委員 久末弥生,委員 葭葉裕子

7p>

 

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