2026年10月12日月曜日

段落番号付き YM 260821 原田祐平意見書(会計検査委員長) 令和8年(情)諮問第2号

段落番号付き YM 260821 原田祐平意見書(会計検査委員長) 令和8年(情)諮問第2号

 

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【 p3 】

 

原田祐平意見書(会計検査委員長)

           (令和8年(情)諮問第2号)

 

               (目 次)

 

 

                            (頁)

 

第1 諮問事件の概要………………………………………………………………………………1

 

 1 本件処分について……………………………………………………………………………1

 

 2 審査請求の提起と審査会に対する諮問……………………………………………………3

 

第2 本件処分の妥当性に関する諮問庁(審査庁)の所見……………………………………3

 

 1 本件対象文書を保有していないこと………………………………………………………3

 

 2 本件審査請求人の主張及びこれに対する諮問庁の見解…………………………………4

 

 3 諮問庁(審査庁)の所見……………………………………………………………………6

 

【 p4 】

 

〔前注〕

 

 本意見書においては、次の略称を用いることとする。

  

① 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)につ

 いては「情報公開法」という。

② 会計検査院情報公開・個人情報保護審査会については「審査会」という。

③ 行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき提起された審査請求につ

 いて、情報公開法第19条第1項の規定に基づき審査会に諮問し、行政不服審査

 法の規定に基づき裁決を行う諮問庁及び審査庁(裁決庁)としての会計検査院長

 については「諮問庁」又は「審査庁」という。

 

【 p5 】

第1 諮問事件の概要

 

1 本件処分について

 

1φ本件審査請求は、令和7年11月21日付けで本件審査請求人からなされた開示請

求に対して、同年12月23日に、開示請求に係る行政文書を作成し、又は取得して

おらず、保有していないことを理由として行った不開示決定(令和7年12月23日

70普第547号。以下「本件処分」という。)に対してなされたものであり、本件

処分に至る経緯は次のとおりである。

 

① 本件審査請求人は、会計検査院事務総長(以下「処分庁」という。)に対して、

 令和7年11月21日付けで、(1)「国民年金保険料の納付受託事務に関する契約

 書の原本の閲覧(セブン-イレブン・ジャパンとの契約に係る直近のもの)」(補正

 後の請求件名。以下「開示請求(1)」という。)、(2)「厚生労働省が会計検査院に提

 出した以下の契約書の保有者は厚生労働省であることが分かる文書(国民年金保険

 料の納付受託事務に関する契約書)(セブン-イレブン・ジャパンとの契約に係る

 直近のもの)」(補正後の請求件名。以下「本件開示請求」という。)、(3)「以下の

 内容が確認できる文書(国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書の原本は会

 計検査院に存在するが、上記の契約書について、会計検査院に対して開示請求を行

 っても、閲覧は厚生労働省において行うことになる)」(以下「開示請求(3)」とい

 う。)の開示請求を行った。¹

 

② 処分庁は、本件審査請求人に対し、7年11月26日に文書により、本件開示請

 求で開示を求める行政文書は、厚生労働省が会計検査院に提出したセブン-イレブ

 ン・ジャパンと契約した国民年金保険料の納付受託事務に関する契約の当事者が厚

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¹ 開示請求(1)については厚生労働省に事案が移送され、開示請求(3)については開示請求対象文書

 として「情報公開請求に対する審査基準」(平成18年3月29日会計検査院長決定)が全部開

 示されている。

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【 p6 】

 生労働省であることが分かる文書であり、同日になされた開示請求(1)で開示を求

 めている契約書で契約の当事者が確認できることから、開示請求(1)と同じ文書を

 求めているということで間違いないかなどの確認を行った。

 

③ 本件審査請求人は、②で確認を求めた事項に対し、7年12月3日に文書によ

 り、開示請求(1)で開示を求めている契約書で契約の当事者が確認できるという点

 については、「契約の当事者ではなく、保有者が確認できる文書です」とし、本件

 開示請求は開示請求(1)と同じ文書を求めているということで間違いないかという

 点については、「請求者には分からない以上、結果、同一文書であっても構いませ

 ん」などと回答した。また、契約書について「本院が保有するものの中で直近のも

 のの開示をお求めということで間違いないでしょうか」との処分庁の質問に対し

 て、本件審査請求人は、「【【本院が保有するもの】】との表現は、間違っていま

 す。【【本院が預かっているもの】】と訂正して下さい。」「訂正前の記載では、不

 存在で不開示と言う文脈が成り立つからである。不存在理由は、契約書原本は預か

 り文書で有り、保有文書ではないことに拠る」などと回答した。

 

④ 処分庁は、本件審査請求人に対し、7年12月10日に文書により、「情報公開

 法における『保有』の概念によれば、厚生労働省から計算証明規則(昭和27年会

 計検査院規則第3号)に基づいて会計検査院に提出された『国民年金保険料の納付

 受託事務に関する契約書(セブン-イレブン・ジャパンとの契約に係る直近のも

 の)』を現在『保有』しているのは会計検査院であり、本件開示請求の請求件名に

 該当する文書は存在せず、不存在を理由とした不開示決定になる可能性が高いこ

 と、開示請求の請求件名を補正することにより開示できる文書が見つかる可能性が

 あるため、請求件名の補正を希望する場合は相談されたい旨を伝えた。

 

⑤ 本件審査請求人は、④で確認を求めた事項に対し、7年12月16日に文書によ

 り、「開示請求件名を維持致します」と回答した。

 

⑥ 処分庁は、本件開示請求に対し、開示請求に係る行政文書を保有していないこと

 を理由とした本件処分を行い、本件審査請求人に通知した。

【 p7 】

 

2 審査請求の提起と審査会に対する諮問

 

2φ本件審査請求人は、本件処分を不服とし、7年12月29日付けで、行政不服審査

法(平成26年法律第68号)の規定により、本件処分の取消しを求め、本件審査請

求を提起した。

 

3φ諮問庁(審査庁)は、本件審査請求について、情報公開法第19条第1項第1号及

び第2号が規定するいずれの場合にも該当しないと認めたことから、8年2月2日、

同項柱書きの規定により審査会に諮問した。

 

 

第2 本件処分の妥当性に関する諮問庁(審査庁)の所見

 

1 本件対象文書を保有していないこと

 

4φ情報公開法によれば、開示請求の対象となる行政文書は、行政機関の職員が職務上

作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組

織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものとされている(情報公開

法第2条第2項)。このうち、「保有しているもの」という要件については、直接に占

有している場合に限らず、事実上支配していれば当該要件を満たすとされ、例えば、

倉庫業者に保管させている場合であっても、行政機関の長が閲覧・移管・廃棄等の権

限を有しているのであれば、行政機関の長が保有しているといえるとされている

(新・情報公開法の逐条解説[第7版]46ページ)。また、開示請求時点におい

て、当該行政機関が保有していることが開示請求の対象となる行政文書の要件とされ

ている(同書43及び44ページ)。

 

5φ国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書(セブン-イレブン・ジャパンとの

契約に係る直近のもの)は、厚生労働省の職員が作成し、又は取得した文書である

が、開示請求時点では、厚生労働省から計算証明規則に基づいて本院に提出されてお

り、本院が直接に占有し、また事実上支配していたこと、また、本院の承認なしに厚

 

【 p8 】

 生労働省は閲覧できず、移管、廃棄等の権限も厚生労働省にはなかったことから、当

 該契約書を「保有」していた行政機関は本院である。

 

6φしたがって、本件開示請求当時、「契約書の保有者は厚生労働省であることが分か

る文書(国民年金保険料の納付受託事務に関する契約書)(セブン-イレブン・ジャ

パンとの契約に係る直近のもの)」は存在せず、本院は当該文書を保有していなかっ

た。

 

 

2 本件審査請求人の主張及びこれに対する諮問庁の見解

 

ア 令和7年12月29日付け審査請求書には、「審査請求の理由」として、次のよ

 うな記載がある(以下、それぞれ「理由①」「理由②」「理由③」「理由④」とい

 う。)。

 

①「厚生労働省から計算証明規則に基づいて会計検査院に提出された『国民年金保険

 料の納付受託事務に関する契約書(セブン-イレブン・ジャパンとの契約に係る直

 近のもの)』を現在『保有』しているのは会計検査院です」とあり、当該契約書が

 会計検査院において職務上取得され、組織的に保有されていることは明白である。

 

②本件開示請求は、契約書の保有者が厚生労働省であることを示す文書を求めたもの

 であり、契約書そのもの、送付状、提出記録、検査資料等を含む趣旨である。契約

 書が厚生労働省から提出されたものである以上、提出経緯や保有主体に関する記載

 を含む文書が存在する蓋然性は高い。

 

③情報公開法において、文書不存在を理由とする不開示決定を行うには、合理的な探

 索を尽くす義務がある(情報公開法ガイドライン参照)。契約書を保有していると

 明言していながら、それに付随する提出経緯や保有主体に関する文書が一切存在し

 ないとする判断は、探索義務を尽くしたとは言い難い。

 

④当該契約書は、現在係属中の訴訟において、厚生労働省職員が契約書の原本閲覧を

 拒否した行為の正当性を主張するための根拠資料として、厚生労働省及び会計検査

 院が共同で準備したものである。このような文脈において、契約書の保有主体や提

 

【 p9 】 

 出経緯に関する文書が一切存在しないとする判断は、実態に反する。

 

イ 上記審査請求人の主張に対する諮問庁の見解は、次のとおりである。

 

(理由①について)

 

7φ本件審査請求人は、理由①として、国民年金保険料の納付受託事務に関する契約

書の保有者が会計検査院であることを挙げている。しかし、そうであるならば当該

契約書の保有者は厚生労働省ではないのであるから、前記第2の1で述べたとお

り、本件開示請求の対象である「契約書の保有者は厚生労働省であることが分かる

文書」は存在せず、本院は当該文書を保有していないということになる。なお、前

記のとおり本件処分に至る経緯で本件審査請求人は、契約書について会計検査院が

「保有」しているという表現は間違っているなどと主張していた。

 

(理由②について)

 

8φ本件審査請求人は、理由②において、本件開示請求は、(ア)契約書の保有者が厚

生労働省であることを示す文書を求めたものであること、(イ)契約書だけでなく、

送付状、提出記録、検査資料等を含む趣旨であることなどを主張する。しかし、本

件開示請求の対象は、「契約書の保有者が厚生労働省であることを示す文書」であ

る。そして、(ア)について、開示請求時点における契約書の保有者は会計検査院で

あることから、「契約書の保有者は厚生労働省であることが分かる文書」は存在し

ないことについては第2の1のとおりである((ア)の主張は、契約書の保有者が会

計検査院であるとする理由①と整合しない。)。また、(イ)について、開示請求の請

求件名から読み取れるものではない上、本件審査請求人は、開示請求の請求件名の

補正の過程においてそのような意向を表明していない。処分庁が当該請求件名では

文書不存在により不開示となる可能性が高いこと及び請求件名を補正することによ

り開示できる文書が見つかる可能性があることを文書により伝えたことに対して

も、開示請求件名を維持すると回答しており、「契約書の保有者が厚生労働省であ

ることを示す文書」以外の文書は本件開示請求の対象となっていない。

 

【 p10 】

 (理由③について)

 9φ本件審査請求人は、理由③において、保有文書の提出経緯等に関する文書が一切

存在しないとする判断は探索義務を尽くしたとは言い難いなどと主張している。し

かし、上記「理由②について」で述べたとおり、本件開示請求の対象は「契約書の

保有者が厚生労働省であることを示す文書」であり、開示請求の対象となっていな

い「保有文書の提出経緯等に関する文書」について探索義務があるものではない。

 

10φまた、処分庁は、7年12月10日の文書において、契約書の提出経緯について、

計算証明規則により厚生労働省から本院に提出されたものである旨を明記して伝え

ており、「契約書を保有していると明言していながら、それに付随する提出経緯や

保有主体に関する文書が一切存在しないとする判断」をしているものではない。

 

(理由④について)

 

11φ本件審査請求人は、理由④として、(ア)当該契約書は現在係属中の訴訟において

厚生労働省職員が契約書の原本の閲覧を拒否した行為の正当性を主張する根拠資料

として厚生労働省及び会計検査院が共同で準備したものである、(イ)このような文

脈において、契約書の保有主体や提出経緯に関する文書が一切存在しないとする判

断は実態に反することなどを主張する。(ア)について、当該契約書は厚生労働省と

セブン-イレブン・ジャパンが契約したものであって、厚生労働省と会計検査院が

共同で準備したというようなものではない。また、(イ)について、処分庁が当該契

約書に付随する「提出経緯や保有主体に関する文書が一切存在しないとする判断」

を行ったものではないことなどは上記理由③についてで述べたとおりである。

 

 

3 諮問庁(審査庁)の所見

 

12φ以上のとおり、本件処分は適法であり、妥当なものであると考える。

 

 

                              以 上

 

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