上告状用資料 HS240125脇博人判決書 春名茂訴訟 松田朋子上席訟務官
東京高裁令和5年(ネ)第4171号 法定手数料全額分の返還請求控訴事件
脇博人裁判官 齋藤巌裁判官 天川博義裁判官
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引用文言挿入版
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令和6年1月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
東京高裁令和5年(ネ)第4171号 法定手数料全額分の返還請求控訴事件
( 原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第31100号 法定手数料全額分の返還請求事件 百瀬玲裁判官 )
口頭弁論終結の日 令和5年11月30日
判決
埼玉県越谷市大間野町○
被控訴人(1審原告) 上原マリスス
東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
被控訴人(1審被告) 国
同代表法務大臣 小泉龍司
同指定代理人 松田朋子上席訟務官
同 古川善健訟務官
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
(前注)略称は原判決の例による。
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し1000円を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は、控訴人が、控訴人が提起した別件訴訟( 東京地方裁判所令和4年(行ウ)第177号不当利得返還請求事件 )において、違法に控訴人の訴えを却下する判決がされ、同訴訟の訴え提起手数料相当額の損害を受けたなどと主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金1000円の支払いを求める事案である。
原審が控訴人の請求を棄却したのに対し、これを不服として控訴人が控訴した。
□ HS 240125脇博人判決書 春名茂訴訟<2p>3行目から
2 前提事実
次のとおり補正するほか、原判決第2の1項( 1頁22行目から3頁11行目まで )に記載のとおりであるから、これを引用する。
[[ << 1 前提事実
以下の事実は、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。
1(1) 別件訴訟(山本庸幸訴訟)の第一審判決
原告は、原告を上告人とする上告事件( 高橋努訴訟 )及び申立人とする上告受理申立て事件について、最高裁判所裁判官(山本庸幸最高裁判事)が口頭弁論を経ずに上告を棄却し、上告受理申立てを受理しなかったことが違法であるとして、被告(国)に対し、原告が上記各事件において納付した手数料2000円相当額の不当利得返還請求訴訟( 東京地方裁判所令和4年(行ウ)第177号 担当春名茂裁判官 )を提起した( 別件訴訟=山本庸幸訴訟 )。
別件訴訟(山本庸幸訴訟)で原告が納付した訴えの提起手数料は、1000円である。(甲1)。
東京地方裁判所は、令和4年5月12日、別件訴訟(山本庸幸訴訟)について、原告の訴えを却下する判決を言い渡した( 以下「別件判決」という。 「YT 220512春名茂判決」のことである。)。
別件判決(YT 220512春名茂判決)の理由は、過大に納められた場合、裁判所は、申立により、決定で過大に納められた手数料の額に相当する金額の金銭を還付する(民事訴訟費用等に関する法律9条1項)と定められているところ、この還付手続きによらず、手数料の返還を訴訟により求めることは許されないから、別件訴訟(山本庸幸訴訟)は不適法であるというものであった。
別件判決を担当した合議体の裁判長裁判官は、春名茂裁判官であった(以下「本件裁判官」という。)。(甲2)
1(2) 手数料還付の申立て
原告は、民事訴訟費用等に関する法律9条1項に基づき、前記(1)の上告事件の手数料還付を求める申立てをした(甲3)。
さいたま地方裁判所は、令和4年7月29日、原告が法定金額を超える手数料を収めたものではないことを理由として、原告の上記申し立てを却下する決定をした(甲4)。
1(3) 別件判決(山本庸幸訴訟)の控訴審判決
原告は、別件判決(山本庸幸訴訟)に対する控訴の申立てをした。
東京高等裁判所は、令和4年10月13日、原告の控訴を棄却する判決を言い渡した(以下「控訴審判決」という。 「 YT 221013鹿子木康判決 山本庸幸訴訟 」のことである。)。
控訴審判決( YT 221013鹿子木康判決 )は、その理由中で、民事訴訟費用等に関する法律9条1項は、過大に納められた手数料の還付について、民事訴訟によらない簡易な手続きを定めたものであるところ、同法には、民事訴訟により不当利得として手数料の返還を求めることが排除される旨の規定はないこと、上記還付手続きによる還付が認められるのは、過大に納められた手数料の額に相当する金額の金銭に限られるのに対し、不当利得返還による場合、納付の事情等に返還すべき額がこの金額と必ずしも一致するとは限られないことからすると、過納手数料の還付請求については、上記還付手続によらずに民事訴訟の手続きによることも許されるとして、原告の訴えは適法な訴えであると判断した上で、原告の不当利得返還請求には理由がないことは明らかであるとして、不利益変更禁止の原則(民事訴訟法304条)により原告の控訴を棄却したものである。
(甲5)。 >> である。 ]]
原判決3頁8行目から9行目にかけての「 明らかであるとして 」を「 明らかであるところ、訴え却下判決を請求棄却判決に変更することは既判力を生じさせる点で控訴人に不利益となることから 」と改める。
3 争点及びこれに関する当事者双方の主張
次項のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほか、原判決第3の2項( 3頁12行目から21行目まで )に記載のとおりであるから、これを引用する。
[[ << 2 争点及びこれに関する当事者双方の主張
本件の争点は、本件裁判官(春名茂裁判官)が別件訴訟(山本庸幸訴訟)の裁判長裁判官として別件判決(春名茂判決)を言い渡したことに国家賠償法上の違法性が認められるかである。
2(1)原告の主張
本件裁判官(春名茂裁判官)は、故意に実体法の適用を誤り、手数料の返還を不当利得返還請求訴訟の手続きでここなうことはできないという内容虚偽の理由で別件判決( YT 220512春名茂判決 )をしたものであり、裁判官に付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものである。
2(2)被告の主張
否認ないし争う。 >> である。 ]]
4 当審における控訴人の補充主張
別件訴訟の控訴審判決において、過納手数料の不当利得返還請求訴訟を提起することが適法であると判断されていることからすると、本件裁判官がこれを不適法と判断して訴えを却下したことは、明らかな違法であるから、故意による違法行為であり、最高裁昭和57年3月12日第二小法廷判決( 民集36巻3号329頁。以下「最高裁57年判決」という。 )にいう特別の事情がある。
□ HS 240125脇博人判決書 春名茂訴訟<2p>19行目から
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと判断する。
その理由は、次頁のとおり、当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決第4の1及び2項( 3頁23行目から4頁13行目まで )に記載のとおりであるから、これを引用する。
[[ << 1 裁判官がした争訟の裁判に上訴等の訴訟法上の救済方法によって是正されるべき瑕疵が存在したとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任の問題が生じるものではなく、その責任が肯定されるためには、当該裁判官(春名茂裁判官)が違法又は不当目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である(最高裁昭和57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁)。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54239
<< HS 230711百瀬玲判決書 春名茂訴訟<4p>5行目 >>
2 これを本件について見ると、別件訴訟(山本庸幸訴訟)が不適法であるとして却下した別件判決( YT 220512春名茂判決 )の判断内容には、控訴によって是正されるべき瑕疵があったものとはいえる。
しかし、原告が主張する事由は、結局のところ別件判決( YT 220512春名茂判決 )の判断内容に誤りがあることを指摘するにとどまり、前記1の特別の事情があることを主張するものとはいえない。
また、本件記録を精査しても、本件裁判官(春名茂裁判官)において、前記1の特別の事情が存在するとは認められない。
したがって、本件裁判官(春名茂裁判官)が別件訴訟(山本庸幸訴訟)の裁判長裁判官として別件判決( YT 220512春名茂判決 )を言い渡したことに国家賠償法上の違法性は認められない。 >> である。 ]]
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
控訴人は、前記第2の4項のとおり主張する。
確かに、別件訴訟の控訴審判決が、過納手数料の不当利得返還請求訴訟を提起することが適法であると判断していることからすると、これを不適法であると判断した別件判決には、民事訴訟費用等に関する法律9条1項に基づく手数料還付手続きと不当利得返還請求権との関係を踏まえた民事訴訟法140条の法令解釈に誤りがあることになる。
しかし、裁判官の判断に法令解釈の誤りがある場合に、そのことをもって当然に最高裁57年判決にいう特別の事情があるということはできないから、控訴人の主張は理由がない。
第4 結論
以上の次第で、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第19民事部
裁判長裁判官 脇博人
裁判官 齋藤巌
裁判官 天川博義
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