2020年5月24日日曜日

仕事術 資料 検察の #告訴状受理義務 根拠の判例 #検察リテラシー #曽木徹也検事正


仕事術 資料 検察の #告訴状受理義務 根拠の判例 #検察リテラシー
東京高裁昭和56年5月20日判決 判例タイムズ 464 号103P同旨

「記載事実が不明確なもの、記載事実が特定されないもの、記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの、事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り、検察官・司法警察員は告訴・告発を受理する義務を負う」

上記の判例に掲示されている理由以外の不受理は「違法」です。
「違法」とは、刑法第 193 条「公務員職権濫用罪」のことです。

〇 検察庁における告訴状の拒否

〇 東京地検の告訴状の受理拒否問題

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東京地検のように、ほぼすべての告訴状に対して“まずは拒否する”のがお約束になっている検察庁もありますし、その他の地方検察庁でも事案によって受理したくない場合には拒否するケースもあります。

警察署においては告訴状の受理を拒否する口実が千差万別なのに対し、検察庁において受理を拒否する際の口実はパターン化されています。

その返戻理由は、以下の2つ。
「どのような行為を捉えて犯罪というのか不明」
「犯罪とされる具体的事実が特定されていない」
というものです。

この返戻理由を記した書面と共に提出された告訴状を郵送で送り返すのが、おきまりの手法となっています。

これは、どのような内容の告訴状に対しても(たとえ「何をもって犯罪としているのか」が明確に記されていても、また、犯罪の具体的事実が詳細に記載されていても)、一律に、「どのような行為を捉えて犯罪というのか不明」、「犯罪とされる具体的事実が特定されていない」という名目で送り返してきます。

検察庁が、この手法をパターン化している事実を知らない人にすれば、このような理由を記した書面と共に告訴状が送り返されれば、「自分の書き方が悪かったのか、あるいは不十分だったのか」と錯覚してしまい、検察庁の受領拒否を疑うことはあまりしません。

半分ぐらいの人は、これ以上どう書けばよいのかが解らず、ここで諦めてしまいます。

残りの人は、前に提出した告訴状に肉付けをして、より詳細に記載を施し、再度提出します。

しかし、いくら詳細に書いて再提出しても、検察庁は再び、「どのような行為を捉えて犯罪というのか不明」、「犯罪とされる具体的事実が特定されていない」という名目で送り返します。

この時点で、ほとんどの人は、これ以上どう書けばよいのかが解らず諦めてしまいます

ごく一部の人が “検察庁の不当な告訴状受領拒否” を疑いますが、どうすればよいかわからず、結局、そのままとなってしまいます。

東京高裁昭和56年5月20日判決においては、

「記載事実が不明確なもの、記載事実が特定されないもの、記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの、事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り、検察官・司法警察員は告訴・告発を受理する義務を負う」

との旨が示されており、要は検察庁はこの判決文で示された「記載事実が不明確なもの」、「記載事実が特定されないもの」に該当するという形を取ることで受理を免れようとしている訳ですが、この判決で「記載事実が不明確なもの」、「記載事実が特定されないもの」を受理する義務からはずしているのは、「記載事実が不明確であったり、記載事実が特定されないために、捜査ができないような告訴状までは受理しなくても良い」という意味であって、告訴状の文面から捜査をおこなうに当たって支障のない程度の内容が読み取れれば、「記載事実が不明確なもの」、「記載事実が特定されないもの」には該当しません。
つまり、告訴状に記載すべき犯罪事実や記載事実は、犯罪の内容が理解できる程度のものであれば足り、検察が起訴するに当たって必要な事項すべてについて一から十までを懇切丁寧に記載することまでは要求されていません。

通常人であれば十分内容を把握できる程度の記載がなされている告訴状は、当然、捜査をおこなうに当たって支障が無いわけですので、そのような告訴状であれば、検察庁は受理する義務があります。

それを 「どのような行為を捉えて犯罪というのか不明」、「犯罪とされる具体的事実が特定されていない」 などと言って、あたかも必要以上にボリュームのある内容を記載しないと告訴状として成立しないかのように見せかける検察庁の手法は、極めて悪質なものと言えます。

ちなみに、検察庁への告訴状提出と警察署への告訴状提出の違いは、
・警察署への告訴状の提出は、「受理のハードルが高い」代わりに「起訴率が高い」
・検察庁への告訴状の提出は、「受理のハードルは低い」代わりに「ほとんど起訴されない」
というものです。
・・・・・
以上
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〇 検察の不受理への対応策 #検察リテラシー
1 回答懈怠の場合
=> ア 最高検の監察官室に不作為審査申立て。 イ 検察官適格審査会に申立て。
==>不作為の違法確認の訴えを提起

2 告訴状返戻の場合
=> ア 最高検の監察官室に対して、刑法第 193 条「公務員職権濫用罪」 及び「 犯人隠避罪(刑法103条)不作為犯 」で告訴する。 イ 検察官適格審査会に申立て。
==> 民事訴訟の提起 犯人隠避罪(刑法103条)不作為犯



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資料 警察の #告訴状受理義務 根拠の判例 #警察リテラシー
東京高裁昭和56年5月20日判決 判例タイムズ 464 号103P同旨

「記載事実が不明確なもの、記載事実が特定されないもの、記載内容から犯罪が成立しないことが明白なもの、事件に公訴時効が成立しているもの等でない限り、検察官・司法警察員は告訴・告発を受理する義務を負う」

上記の判例に掲示されている理由以外の不受理は「違法」です。
「違法」とは、刑法第 193 条「公務員職権濫用罪」のことです。

〇 警察が不受理の場合の対応
・・、警察署の担当刑事がどうしても告訴状・告発状を受理しない場合には、署長、都道府県警察本部(又は警視庁)、又は地方検察庁に直接に告訴状・告発状を郵送する方法もあります。
あるいは、都道府県警察本部(又は警視庁)の監察室又は都道府県公安委員会に当該事情を説明して、当該刑事に告訴・告発の受理を促す方法もあります。
同様に、告訴・告発事件の捜査が遅延している場合には、都道府県警察本部(又は警視庁)の監察室又は都道府県公安委員会に当該事情を説明して、当該刑事に捜査の迅速化を促す方法もあります。

通常、告訴・告発は、現場の一刑事の判断だけで受理・捜査されるものではなく、告訴・告発の受理・捜査の過程で警察署長及び都道府県警察本部の指揮の下に行われます。

そして、一度告訴・告発が受理されると司法警察員は速やかに関係書類及び証拠品を検察官に送らなければならず、検察官の関与なしに事件を警察段階で止め、立件を見送ることはできません(刑事訴訟法 242
)
こうして司法警察員に捜査義務の生じることが、司法警察員が告訴・告発の受理を渋る別の理由だとも考えられています。

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〇 警察が告訴状不受理時対応手続

【1】警察署における告訴・告発の不受理の場合
1 公安委員会に苦情申し出をおこなう
2 警察本部監察官室(監察室)に対して、不受理の正当性を問う公開質問をおこなう
3 警察庁に苦情を申し立てる
4 警察本部に対して、告訴状・告発状を不受理とした警察官を刑法第193条(公務員職権濫用罪)で告訴する
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