2026年7月7日火曜日

すっぴん版 YM 251202 段落番号付き一審判決書 中野晴行判決書

 ¶1 判決言渡日・事件番号・事件名

令和7年12月2日判決言渡 令和7年(ワ)第5413号 慰謝料請求事件 口頭弁論終結日 令和7年10月3日

¶2 当事者の表示

別紙当事者目録記載のとおり

主文

¶3

原告の請求を棄却する。

¶4

訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

¶5

被告は、原告に対し、慰謝料として1万4000円を支払え。

第2 事案の概要

¶6

本件は、原告が、旧個人情報保護法に基づく開示請求につき日本年金機構から不開示決定を受け、審査会が「不開示妥当」と答申したことが、 故意に虚偽理由による違法な答申であり、知る権利を侵害した として、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料1万4000円を求める事案である。

1 前提事実

¶7

原告は平成29年9月5日、日本年金機構に対し、コンビニ納付した国民年金保険料の「納付済通知書」について保有個人情報開示請求をした。

¶8

日本年金機構は平成29年11月8日付で、 「領収済通知書はコンビニ本部で保管され、日本年金機構へ送達されないため、文書不存在により不開示」 と決定した。

¶9

原告は平成29年11月13日付で審査請求をした。 日本年金機構は平成30年2月6日付で審査会に諮問した。

¶10

山名学委員らで構成された審査会は平成30年5月14日付で、 「日本年金機構の説明に不自然・不合理な点はない」 として不開示妥当の答申をした。

2 当事者の主張

¶11 原告の主張

領収済通知書は日本年金機構が事実上支配する文書であり、 審査会はその事実を認識しながら「保有しない」と虚偽の答申をしたため、国家賠償法1条1項上違法である。

¶12 被告の主張

否認。 日本年金機構は領収済通知書を保有していない。 審査会は通常尽くすべき注意義務を尽くしており違法ではない。 仮に慰謝料請求権が存在しても消滅時効が成立している。

第3 当裁判所の判断

1 認定事実

¶13

国民年金保険料の納付受託事務は厚労省年金局とコンビニ本部との契約であり、日本年金機構は契約当事者ではない。

¶14

契約書・要領では、コンビニ納付の「納付書」はコンビニ本部で保管するとされている。

¶15

領収済通知書の書式には、 宛先:厚生労働省年金局事業管理課長 送付先:日本年金機構事務センター内 厚生労働省年金局 と記載されている。

¶16

審査会は日本年金機構に確認し、契約書・要領の提示を受け、内容を確認した上で答申を行った。

2 検討

¶17

原告は「領収済通知書は日本年金機構が事実上支配する文書」と主張する。

¶18

国家賠償法1条1項の「違法」とは、公務員が職務上通常尽くすべき注意義務を怠った場合に限られる(最判平成271216日)。

¶19

国民年金法92条1項2号は、納付受託者(コンビニ)を厚労大臣が指定する制度である。

¶20

納付受託者は保険料を受領したとき、厚労大臣に報告する義務を負う。

¶21

厚労省年金局とコンビニ本部が契約を締結し、納付通知書の保管はコンビニ本部とされている。

¶22

以上より、領収済通知書の保有権限は厚労大臣にあり、 日本年金機構が保有しているとはいえない。

¶23

審査会は契約書・要領を確認した上で答申しており、注意義務違反は認められない。

¶24

原告のその他の主張は、上記判断を左右しない。

3 文書提出命令等の申立てについて

¶25

原告の証人尋問申立て、令和7年8月15日付文書提出命令申立て(モ2400号)、令和7年9月24日付文書提出命令申立て(モ2666号)は、 証拠調べの必要性がないため却下する。

第4 結論

¶26

原告の請求は理由がないため棄却する。

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