仕事術 裁判の脱漏 民事訴訟法258条 最高裁判例 知財弁護士.COM
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=>「 判決の脱漏 」は、利用方法が分からない。
主張について判断させたい時は、訴訟物を工夫して、「 第9号再審事由=判断の遺脱 」を利用する方法を考える。
「 請求権発生原因事実 」についての主張は、必ず裁判官は判断を示す必要がある。
Ⓢ 画像版 YM 250228 訴状 山名学訴訟 H300514山名学答申書 済通開示請求
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12888214779.html
山名学元名古屋高裁長官・常岡孝好弁護士・中曾根玲子國學院大學教授
訴訟物=山名学委員が内容虚偽の不開示決定妥当理由を故意にでっち上げた事実を原因として発生した知る権利の侵害を理由とした慰謝料請求権
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http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5607510.html
https://marius.hatenablog.com/entry/2025/06/11/095027
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12909733556.html
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裁判所が,請求の一部につき判決を怠っている場合をいい,個々の主張について判断を落とした場合は,判決の脱漏に当たらない、と判断された事例
平成28年7月20日
東京地裁平成28年(ワ)第13284号 原因判決脱漏裁判請求事件
=> 判例検索で検索できず。
関連法規
裁判官の職務行為、裁判の脱漏、国賠法1条1項、国賠、国賠法、国家賠償法1条1項、国家賠償法、
【概要】
本件は、原告が有していた特許権につき特許庁が平成13年7月4日付けでした異議の決定に対し、原告が提起した特許取消決定取消請求事件の判決に関し、裁判所が判断を脱漏した違法がある等として、国賠法1条1項に基づく請求をしたものである。
原告の主張によれば、裁判所は、原告の個々の主張についての判断を落とした(=しなかった)ものがあるということである。
原告は、この理由として、原告が平成15年3月2日に準備書面等を裁判所に提出し、同月26日の弁論準備手続期日において説明をしたところ、直ちに公開法廷に移動し、弁論準備手続の結果を陳述後、裁判官らが口頭弁論を終結し、同年4月9日に判決が言い渡されたという事実から、口頭弁論終結から14日後に21頁からなる判決書ができるはずがなく、口頭弁論終結時には既に判決をしていたものと推認される等と主張した。
【判旨】
1 国賠法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責めに任ずることを規定するものである(最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁、最高裁平成13年(行ツ)第82号、同第83号、同(行ヒ)第77号同17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁等)ところ、公権力の行使にあたる公務員の行為が国賠法1条1項の適用上違法と評価されるためには、当該公務員が損害賠償を求めている国民との関係で個別具体的な職務上の法的義務を負担し、かつ、当該行為がその職務上の法的義務に違反してなされた場合でなければならず、特に、裁判官の職務行為については、「当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする」(最高裁昭和53年(オ)第69号同57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁)ものである。
2 原告は、本件判決は、訴状別紙1として添付する準備書面及び証拠の図面(以下「本件準備書面等」という。)による原告の主張を脱漏した旨主張するが、民事訴訟法258条の「裁判の脱漏」とは、裁判所が、請求の一部につき判決を怠っている場合をいい、個々の主張について判断を落とした場合は、判決の脱漏に当たらないから、原告の上記主張は、主張自体失当である。
【コメント】
本件は、「民事訴訟法258条の「裁判の脱漏」とは、裁判所が、請求の一部につき判決を怠っている場合をいい、個々の主張について判断を落とした場合は、判決の脱漏に当たらない」という判断枠組みが示された。
これにより、裁判所は、当事者の全ての主張に対して判断を示す必要がないことが確認された。
すなわち、「裁判の脱漏」とは、あくまで請求に関して判断されるものである。
仮に、裁判所は、当事者の個々の主張について、事実として見落とし、重要な主張について判断をしなかった場合については、国賠法とは別の判断枠組みで救済され得るものと思われる。
例えば、控訴理由又は上告理由として、審理不尽を主張し、当該主張が認められることによって、裁判所が見落とした当事者の重要な主張について、改めて審理される機会を得ることができるのである。
後述するように、一般的にハードルが高い国賠法による請求のほか、控訴又は上告をするという途もあり得るものと思われる。
また、本件は、国賠法1条1項に基づく請求が裁判官の職務行為を対象としたものである場合の判断をしたものである。
本判決は、国賠法1条1項に基づく請求が裁判官の職務行為を対象としたものである場合には、一般の国又は公共団体の公権力の行使にあたる公務員と比べ、要件が加重された最高裁判例(最高裁昭和53年(オ)第69号同57年3月12日第二小法廷判決・民集36巻3号329頁)を確認した。すなわち、国賠法1条1項に基づく請求が裁判官の職務行為を対象としたものである場合には、「当該裁判官が違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認めうるような特別の事情があることを必要とする」のである。その上で、本判決は、「特別の事情」がないと判断したものである。
国賠法1条1項に基づく請求に関する判断をする裁判所が国賠法1条1項に基づく請求の対象となるのであれば、当該請求が認められるための要件が加重されるというのは、合理性のある考えである。
なぜなら、三審制が採用されている我が国の司法において、司法の判断になお不満がある者がその不満を国賠法1条1項に基づく請求という形で表明するということになれば、いつまでも紛争が解決しないからである。
このように、国賠法による請求は、一般的に、認められるためのハードルが高いが、対象が裁判官の職務行為となると、一段とハードルが高くなるので、「裁判の脱漏」を問題にするのであれば、前述したように、司法の枠組みである控訴又は上告をした方がよいものと思われる。
以上
(文責)弁護士 関 裕治朗
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