テキスト版 SK 緒方節郎判決書 不訴追は裁量権 裁判官訴追委員会 関根小郷最高裁判事 裁判官不訴追決定取消請求事件 せきねこさと 上告棄却 確定 昭和48年2月20日
https://plaza.rakuten.co.jp/marius/diary/202304170000/
https://marius.hatenablog.com/entry/2023/04/17/103727
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12798932222.html
***********
<6丁表>
昭和43年(行ウ)第44号 裁判官不訴追決定取消請求事件
判決
神戸市兵庫区八多町○○
控訴人 森 ○一
東京都千代田区永田町2-1-2号衆議院第2議員会館内
被控訴人 裁判官訴追委員会
右代表者委員長 中村梅吉
右当事者間の昭和43年(行コ)第36号裁判官不訴追決定取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。
主文
本件訴えを却下する
控訴費用は原告の負担とする。
事実及び理由
<6丁裏>
本件訴状( 昭和43年2月22日付 )、請求趣旨変更申立書( 同月25日付 )、準備書面( 同月23日付 )、字句挿入による修正申立書( 同月23日付 )、準備書面二( 同月28日付 ) (これらの書面によれば、被告を裁判官訴追委員会長灘尾弘吉と表示しているが、これは裁判官訴追委員会 右代表者委員長灘尾弘吉の誤記と認める。
の現在の委員長は中村梅吉である。)
請求趣旨変更申立て書(同年4月20日付)、準備書面(同月23日付)、再請求趣旨及請求原因変更申立書(同年5月8日付)、釈明所(同日付)によれば原告の本訴請求の趣旨は、「 一、被告が昭和42年12月18日付けを持ってした谷口照雄裁判官の不訴追決定を取消す。
<7丁表>
二、訴訟費用は、被告の負担とする。 」との判決を求めるというにあり、またその請求の原因として主張するところは、「 一、原告は、昭和42年7月22日、被告に対して、大阪高等裁判所谷口照雄裁判官に対する裁判官弾劾の申立てをしたが、被告は、この申立てを、同裁判官の判断事項を攻撃したものであるとして、訴追しないと決定した。
二、しかし、原告は、右裁判官の判断事項を攻撃したものではなく、その職務上の怠ったのに対して、弾劾申立を行ったものであるから、被告の右不訴追決定は違法である。
<7丁裏>
よってこれを取消す旨の判決を求める。 」というものである。
そこで、本件請求の適否について審理するに、憲法第64条第1項は、「 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 」と定め、弾劾裁判所を国会に設けているが、これは、弾劾裁判所を国会に設けているが、これは、裁判官に対する弾劾の裁判を公正に行なわしめるため、司法裁判所とは別な系統の、かつ、独立の機関によって裁判することが、妥当であるとした趣旨と解するのが相当である。
従って弾劾による裁判官の罷免は弾劾裁判所の専権に属するから、司法裁判所は、弾劾裁判所のなす罷免の裁判に一切関与しえないものというべきである。
<8丁表>
次に弾劾に関する事項については、憲法64条第2項により、国会法(第125条乃至第129条)及び裁判官弾劾法が制定せられ、これらによって裁判官訴追委員会及び裁判官弾劾裁判所の各組織、権限が定められている。
そして、裁判官弾劾法によると、訴追委員は独立してその職権を行うこと(第8条)、訴追委員会は衆議院議員たる訴追委員及び参議院議員たる訴追委員がそれぞれ7名以上出席しなければ議事を開き議決することはできず、その議事は出席訴追委員の過半数によって決定するが、罷免の訴追又は罷免の訴追の猶予をするには出席訴追委員の3分の2以上の多数で決することとされていること(第10条)、何人も裁判官について弾劾による事由<8丁裏>があるとする思料するときは訴追委員会に対し罷免の訴追をすべきことを求めることができること(第15条)、訴追委員会は情状により訴追の必要がないと認めるときは罷免の訴追を猶予することができること(第13条)等が定められ、罷免の訴追をするかどうかは訴追委員会の裁量に委ねられていることが明らかであり、訴追委員会の不訴追決定に不服のあるものが、その裁量の当否を争いうることを定めた規定はない。
このような訴追委員会の組織、権限等と弾劾裁判所の前記のような独自性とを併せ考えるならば、訴追請求があったにかかわらずこれに応じた罷免の訴追をしないことに対して不服があるとしても、訴追委員会を被告として、司法裁判所に行政処分取消訴訟を提起することはできないものといわなければならない。
<9丁表>
しかるに本件請求はそれ自体裁判所の裁判権に属しない事項を目的とするものであるから、不適法というほかない。
以上のとおり、本件訴えは、不適法であり、かつ、その欠缺は補正することができないと認められる。
よって、民事訴訟法第202条、第89条に従い、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第3部
裁判長裁判官 緒方節郎
裁判官 小木曽競
<9丁裏>
裁判官 佐藤繁(繁は特定不可能)
上告棄却 確定 昭和48年2月20日
**************
1 東京地方裁判所 昭和43年(行ウ)第44号 裁判官不訴追決定取消請求事件
緒方節郎裁判官 木曽根競裁判官 佐藤繁(?判読できず)
2 東京高裁裁判所 昭和43年(行コ)第36号 裁判官不訴追決定取消請求控訴事件
小野沢龍雄裁判官 田中永司裁判官 大石忠生裁判官
3 最高裁判所 昭和44年(行ツ)第35号 裁判官不訴追決定取消請求上告事件
関根小郷最高裁判事 田中二郎最高裁判事 天野武一最高裁判事 坂本吉勝最高裁判事 せきねこさと
Ⓢ 画像版 SK 緒方節郎判決書 不訴追は裁量権 裁判官訴追委員会 せきねこさと 地裁
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12798228235.html
Ⓢ テキスト版 SK 小野沢龍雄判決書 不訴追は裁量権 裁判官訴追委員会 裁判官不訴追決定取消請求控訴事件 せきねこさと
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12798790939.html
Ⓢ テキスト版 SK 関根小郷判決書 不訴追は裁量権 裁判官訴追委員会 裁判官不訴追決定取消請求上告事件 せきねこさと
https://ameblo.jp/bml4557/entry-12798798266.html
**************
0 件のコメント:
コメントを投稿